Session2

(1) Ryo Fujimoto「Humanelectro」(16:06)

プロフィール詳細
脳から体へと送られる電気信号を受信し、音へと変換させ、一つの芸術を創り出すfujimotoさん。現在はドイツ・ベルリンを拠点にヒューマンビートボクサー、エレクトロニックミュージシャンとして世界で活躍中です。

芸術・音楽の道を追求しようと思ったのは、アカペラ音楽と出会った14歳の時。当時傷ついていた心を癒してくれた音楽に今、恩返しをしているのかもしれませんと語ります。

芸術と音楽の役割は世界をよりよくするため、人々に違うアンテナをはってもらうためと語るFujimotoさん。彼の創り出す音と映像の芸術は、会場を未知の世界へと誘導し、私たちの五感に大きな刺激だけでなく、新たな世界観を与えてくれました。

大人が芸術に感銘を受けなければ子どもたちは様々なアンテナを張ろうとしない。つまり、子どもの未来は大人次第であるということ、子どもを守ることはつまり未来を守るということ、Fujimotoさんのダイレクトなメッセージは多くの大人の心に刻まれたことでしょう。


(2) 山内 奏人「New learning style by kids for kids」(6:40)

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パソコンとの出会いは6歳の時、古いパソコンを受け継ぎいだことに始まります。8歳で作ったというストップモーションアニメに、会場からは拍手喝さいが湧き起りました。小学6年生の時に、「中高生Rubiyプログラミングコンテスト」で最優秀賞を獲得したと山内君ですが、中学生となった今、新しい学びのスタイルを提案します。

先日行われた学園祭で大成功を収めたという、子どもの、子どもによる、子どものためのプログラミングワークショップ、その名も『IT is IT』。「プログラマーとして何かできることはないか」との自問に答える形で生まれたそうです。

「子どもが、自分のスキルを同年代の子どもに教える」という新しい学びの形は、プログラミングに関わらず、どんな分野にでも当てはまります。先生でもない親でもない同年代の子どもが教えることで、教わる子どもたちはもより興味をもち、楽しく学ぶことができるのではないかと感じているそうです。

それでも夢の実現には、先生・親・大人のサポートがどうしても必要だと訴える山内君。自分たちの道を自分たちの手で切り開こうとする姿は頼もしく、無限大の可能性を感じさせてくれました。きっと多くの大人たちが手を差し伸べたいと思ったことでしょう。


(3) 井上 大介「Dive into the Cybersecurity」(14:15)

セキュリティ研究者(プロフィール詳細
IPアドレスやネットワークは実際に存在するものの、どうしても架空のものとして捉えがちです。それゆえに「守る」ということもなおざりにしがちなのかもしれません。そんな私たちに井上さんが紹介するのは、まるでSF映画のようなサイバー攻撃の様子、私たちは今まさに身近で起きているその脅威を目の当たりにすることができたのです。
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インターネットへのアクセスが日に日に透過的になり、常に外部からの攻撃やウィルス感染の危機に直面している中で、井上さんはPCを、企業を、国を守るべく、セキュリティ研究の最前線で研究・開発をされています。

井上さんの『69284回/年』の意味の問いかけにどれだけの人が正解を持ち合わせていたでしょうか。自分のパソコン(IPアドレス)が1年間でこれほどの攻撃を受けているという事実に、会場は大きなどよめきに包まれました。

そして私たちが次に疑問に思うであろう「その攻撃はいつ?どこから?何のために?」の問いを、サイバー攻撃をリアルタイムに可視化するシステム「NICTER」、「DAEDALUS」、「NIRVANA改」が解明してくれます。このシステムを使い、あらゆる国・地域から襲いかかるサイバー攻撃を観測・分析し、危険値の高い企業や個人にアラートを出されているのだそうです。

幼い頃は大好きなコンピューターゲームばかりしていたという井上さん。幼い頃夢中になったことは人生において何一つ無駄になることはない、そう感じ取った人も多いはずです。井上さんの「未来のインターネットを守るのは、未来の君たちだと思っています。」の言葉に、未来を担う子どもたち、支える大人たちは心に大きなアタックを受けたことでしょう。


(4) 南 善成「In Search of Advanced Space Propulsion Rocket」(12:36)

人工衛星開発者 / NASA BPP メンバー / 英国惑星間協会フェロー(プロフィール詳細
未知なる夢への挑戦として、新型宇宙推進ロケットへの探求を進める南さん。小学生の頃には、宇宙への夢を持ち、将来は火星に行きたいと願っていたそうです。自分が大人になる頃には人間が足を踏み入れていることを信じて…。

日本からもロケットを打ち上げたり、宇宙ステーションで活躍する日本人もいるこの現在において、なぜ人類は未だ火星に行くことができないのか…。

火星が太陽の周りを回るスピード、そして、地球から打ち上げられるロケットの速度との関係は、現在のところ亀(ロケット)がウサギ(火星)を追いかけるようなものだと南さんは子どもたちにも分かるように説明してくれました。火星の軌道を緻密に計算したり、ロケットの速度を上げたり、他の術を探したり、果てなき宇宙への挑戦は続きます。

「昨日の夢は、今日の希望であり、明日の現実である。」
世界で初めて液体ロケットを完成させたロバート・H・ゴダードの言葉を、これから夢に向かってチャレンジしていく子どもたちに南さんは残してくれました。子どもたちが大人になる頃には、火星がもっと近い存在になっていることを信じて…。


(5) 佐々木 浩「Our Future Seen Through the Parts of Life」(12:34)

生物学者(プロフィール詳細
普段、どれだけのヒトが自分たちは「生き物」だと常に感じながら生きているでしょうか?どれだけのヒトが自分たちのカラダをつくる細胞を常に感じながら過ごしているでしょうか?生物学者の佐々木さんが、美しき「生き物」をより身近に感じる神秘の世界へと案内してくれました。
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「お腹がすくのは僕たちが生き物だからだよ」。あまりに当然で、当然だからこそ遠くに感じてしまいがちのことを私たちはまず身近に感じ取りました。そして、「人間はこの世界で最も不思議で複雑で美しいものではないかと感じています」との言葉に多くの観客が自身の内に意識を向けました。普段、意識することなくカラダを動かし、疲れたら休ませる…そんな当たり前のことすべてが不思議と言う言葉でつながっていきました。

「生き物って何?」という謎を解き明かすため、研究を続ける佐々木さん。いつになったら生き物のことが分かったと言えるの?そんな深い問いに日々立ち向かっています。自分たちのカラダをつくる細胞(部品)を一つ一つ調べること、その積み重ねによって仕組みが分かったり、謎を解き明かしたり、病気を治したりすることが可能になっていく…その可能性に大きな希望を私たちも抱きました。

裸眼では確認できなくとも確実に存在し、私たちを作り出しているもの…おのずと不思議が溢れ出てきます。学生時代に戻ってもう一度「生物」を学び直したい!そう思った方も多いのではないでしょうか?「分かる=つくる」というメッセージを残し、佐々木さんが子どもたちに託す「未来」とは…「生き物の謎」を不思議に思う子どもの心にあるようです。



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